* 空と月 *

本好きのたわごと。

かすかに見えた"真実の光" ー『我傍に立つ』より 2

昨日もここに書いた、小説『我傍に立つ』から、特に心に響いた言葉について書きたいと思います。

 

雲の切れ間から覗く陽光 。

——闇が支配する世界で 、全てを照らし出す真実の光 。

真実がこの世で実現することが 、私の永遠の 、願い 。

この文章を読んだ瞬間、なぜか時間が止まったような感覚になり、しばらくの間「真実の光」という文字を眺め固まっていました。

はっきりと意味を把握しているわけでもないのに、自分の中の何かが強く反応しているのがわかる感じでした。

 

全ての人々がこの世の中心の真実を手にすることができれば 、争いは確実に消え失せます 。しかし難しいのは 、人々が 、この真実を手にすることです 。この世の中心にある 、永遠の世界に目を向けさえすれば良いのに 、欲に囚われている人にはそれができない … … 

(略)

私の夢は、〝全ての人々が真実を手にした世界をこの世で見る 〟ということなのです 。

そして私自身は 、真実がこの世で実現するための 、突破口の一つになりたいと思っています 。

 これは、自分の中に、ぼんやりと存在していた何かと同じだ、と思い、泣きそうなくらいの強い感情に襲われました。

自分では、うまく言葉にすることもできず、はっきり自覚すらできていなかった、でも確かにずっと長い間追い求めていた何かが、そこに語られていると思い、鳥肌の立つ思いでした。

 

著者の語る言葉には芯があり、とても力があり、比べて私の曖昧な感覚はあまりにも稚拙で未熟。とても比べられるものではありません。

著者の語る言葉の意味を正確に捉えることすらできていないのかも。

それでも、同時代に生きている方の言葉 (正確には、1800年前の人物の言葉だとしても) に、何か勇気をもらえるような気がしました。

曖昧だった "目指すべきもの" に光をあててもらえたような。

 

 耳が痛かったのは、以下の言葉。

現実的には私が世間で役に立つことはない 。だが 、それでいい 。欲望が渦巻く今の世の中で 、真実の世界を実現することは不可能に近い 。馬鹿げた夢を抱いて 、自分の生活を乱してはならない 。自分に与えられたこの幸運 、この平和をみすみす放り出すことのほうが 、ずっと罪なのだ 。そう考え 、限られた狭い世界の平和を慈しんでいた 。

まるで自分のことを言われているよう。

それどころか、私の場合、自分が願う "真実の世界" すらあやふやで、"限られた狭い世界の平和" すら充分に慈しむことができていない。焦りや不安、後悔の中、心ここにあらずな状態で過ごしていることの、なんと多いことか。

自己嫌悪ばかりです。

それでも、この小説を読んで、今まで長い間見ることすらできていなかった"光"が、遥か遠くに輝くのをようやくかすかに視界に捉えることができたような、そんな感動は、忘れられないものとなりそうです。

 

我傍に立つ(完全版)

我傍に立つ(完全版)