* 空と月 *

本好きのたわごと。

先入観にとらわれない目

今朝の新聞のコラム欄に、こんな記事が載っていました。

 

カンヌ国際映画祭で『万引き家族』が最高賞「パルムドール」を受賞したことを受けての、是枝監督についての記事。

 

先入観にとらわれず、人間を知りたいという柔軟な目。それがリアルで味わい深い作品につながっているのだろう。

心弱く、行い悪い人物を決して断罪や非難で描かないのも、先入観を疑う手法と関係があるのかもしれない。

「薄汚れた世界がふと美しく見える瞬間を描きたい」。

人の弱さ。それさえ是枝監督には美しく見える。

世界がその目を評価した。

 

すごく、是枝監督の映画が観たくなりました。

 

人に限らず、この世界の全ては、先入観というものによって全く姿を変えてしまう。

濃いサングラスをかけていたときには見えなかったものが、透明なメガネに変えたらはっきり見えるようになった、みたいな感じ。

ずっとそこにあったのだけれど、自分からは見えていなかったということですね。

 

人は自分の心の中身を、人やものに投影している。

だから、同じものを見ているようで、おそらくそれぞれが、全く違う世界をを見ているのだと思います。

 

人にレッテルを貼って決めつけてかかることは、なんだかすごく損ですね。もったいない。

私自身、よくやってしまっていることです。

 

できるだけ透明なメガネをかけていたい。

できることなら、メガネなんて外してしまいたい。

そして、ありのままを見たい。

「薄汚れた世界」も、全てをありのままに。

 

すごく、難しいことですけど。すごく。

 

皆がそうできたなら、この世界はどんなに優しい世界になるだろう。

 

決めつけ、判断、レッテル貼り、そういうことをやめるだけでいいのに、人間にはなかなかそれができない。

やはり、人間は不器用な生き物です。

 

「薄汚れた世界がふと美しく見える瞬間」。

この言葉だけでも、ギュッと心をつかまれます。

映画を観たら、そんな瞬間に、自分も立ち会えるでしょうか。